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clair de lune

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~ 月の中のつきないはなし ~

ショーケースの上のお菓子たち。

お馴染み、ヴァンドゥーズの大谷です、こんにちは。

勝手にお馴染み感を出してみました。

今日は、題名でも書きましたが、ショーケースの上に並んでいるお菓子のお話をしようと思います。
ショーケースの上のお菓子たち。_d0244566_23371598.jpg

この写真気に入ったので今お店の前にも飾ってます・・

お店に入ると一番目につきそうな場所に並んでいるにも関わらず、
「え、そんなにいろいろあったっけ?」と、あまり光の当たらない存在のこの子達、
以前にもタルトカンパーニュをご紹介したりもしていましたが、
そのブログで「初めて知りました・・・」というお声が多かったことに衝撃を受け、
もっともっとこのお菓子たちのことを知ってもらいたいと日々考えていたのですが、
素朴なように見えて、ひとつひとつにフランスの歴史のあるお菓子たちを前に、
難しく考えすぎていたのか、なかなか発信できずにいました。。

でもそんなことよりもまず皆さまに知ってもらおう!ということで、
少しずつですがご紹介していこうと思っています!

前に「好きなものシリーズ」みたいなことをしていましたが(途絶えていてスミマセン)、その延長線上と思っていただけると良いかと・・・。


そのお菓子たちを、モンテベロでは「ドゥミセック」(半生菓子)と呼んでいますが、
焼き菓子といえばそうなのですが、日持ちのする焼き菓子とは違い、焼いたその日に是非食べてもらいたいお菓子です。
最初は何を書こうかなーと考えつつ、すでに決めていたのがこの「フラン」!!
ショーケースの上のお菓子たち。_d0244566_2375010.jpg

たまにチーズケーキ?と聞かれますが、違います。
見覚え、あるような、ないような、という感じでしょうか?
でも最近は好きな方も増えてきているように思います。
カスタードクリームをタルト台に詰めて焼いた素朴なお菓子。
ザクッとした生地に、もっちりといいますか、このぶりぶりしたクリームの食べ応えが特徴ですかね・・・この自分の表現力のなさにがっかりしますね・・・

実は私、「フラン」の存在をモンテベロで働いてから知りました。まぁびっくりするくらいの無知さで有名な私ですのでそんな驚くことでもないのですけど。
最初はお隣のシュクレクールで売っていることも知りませんでした。

聞くところによると、フランスでは、フランはパティスリーにというよりも、ブーランジュリに必ず置いてあるようなお菓子のよう。

お店によって「フラン」もいろいろで、パイ生地であったりタルト生地だったり、中のカスタードクリームは、どっしりとしっかり詰まったものから、とろとろ~とやわらかいものなど、本当に様々なのです。
フルーツをそのままなかにどかどかっと入れて焼き上げたものもフランスにはたくさんあるのだとか。
無条件においしそうですが。。

元々は、他のお菓子を作った時に余ったカスタードクリームを再生利用する為に作られたお菓子だそうです。
お菓子を作ったことのある方はおわかりだと思いますが、生地を丸い型で抜いたら必ず半端が出ますし、カスタードクリームも、一度にたくさん炊き上げるので、ぴったり使いきるということはなかなかムズカシイですよね。
その余った材料を「二番生地」などと呼んだりしますが、そういったものを余さず再利用して作ったお菓子を「二番菓子」といったりします。
ドゥミセックには、このような材料を使ったお菓子がとても多いです。

フランスにはこの手のお菓子がとても多くて、伝統菓子にもそんな由来のあるお菓子が多いことに気付きます。
材料を無駄づかいしない、余ったものを絶対捨てない精神から作りだされたお菓子がたくさんあるのです。

この精神は、前シェフの橋本シェフがフランス菓子を作るうえでとても大切にされていたことでもあります。

橋本シェフに一番好きなフランス菓子を聞くと、「フラン!」と答えるほどなのですが、
それだけ思い入れが強いというのもありますが、なんというか、橋本シェフの中で、もっともフランス菓子らしいお菓子!という感じです。

モンテベロも、エクレールやミルフォイユなどでカスタードクリームをたくさん炊くのですが、その余ったクリームをもう一度しっかりと炊き直してかなりクリームに弾力を出して作っています。このぶりんぶりん食感は、普通にに余ったクリームを焼き上げただけでは出てこないので、こうして無理やり出しているのです。それが橋本シェフのイメージの中にある、フランスらしいフランだったのですね。



シンプルだけれども、一つ食べるだけでこの満足感。
逢坂シェフも、フランは、「何も難しいことを考えずにとにかくおいしいものを食べて欲しい!」という気持ちが詰まった、とてもフランスらしいお菓子で、すごく好きなおかしの一つだ、といってフランスの思い出を話してくれたりしました。
フランスではごく日常のお菓子。気取らず、もっとポーションも大きくて、とにかくクリームいっぱい!甘い!おいしい!満足!というイメージのお菓子だったとか。
なんだか本当に、お菓子の原点のような感じですね。

そんなお菓子ですが、日本のパティスリーには置いているお店少ないと思います。
やっぱりシンプルすぎて日の目を見ないのでしょうか・・

フランを紹介したい!と思い立ったときに、お隣のシュクレクールのフランも食べてみました。
ショーケースの上のお菓子たち。_d0244566_2327589.jpg

モンテベロのフランは、クリームにしっかりバニラの香りをつけ、このぶりぶり食感の食べごたえに力を入れる一方、シュクレのフランは見た目にもざっくり感がありますが、パイ生地のザックザク感がたまらなくオイシイのです!
中のカスタードは、モンテベロとは全く違い、生地を引き立てる為のようなシンプルなクリームです。
なので同じフランでも全く別物・・・

岩永シェフが目指したフランは、やぼったさ、けだるさ、チープさ。
この3つを表現しながらも、これを併せ持ったう上で、そこをどう、いかにおいしく作るかという勝負だったんですね。
フランは本当に日常のお菓子なので、贅沢な材料を使うのも違うし、繊細さもいらない。
中のクリームは、他のパンに合わせているようなカスタードクリームとは別に、わざわざ敢えて安っぽく作ったクリーム。でもこのザクザク存在感のある生地と合わせた時に、その全てが表現されたシュクレのフランが完成されるわけです。
そんな実は巧みに計算されたシュクレのフランですが・・・

やっぱり何も考えずにかぶりつくのが一番美味しいのは間違いないです。
それがこのフランの役割とも思えます。

なんだかシュクレのフランの宣伝みたいになってしまいました;

スタッフの間や常連さんの中でも「私はシュクレ派やな~」とか「モンテベロのが好きー」とか
意見が分かれたりします・・・
ちなみに私は・・・    秘密です!!

さあさあ、食べ比べてみたくなりましたか☆


フランスの日常、、というフレーズが割と出てきますが、
実際そのフランスの日常を経験したことがなく、妄想の中で暮らしている私ですので、
今回はシェフの面々の意見を取り入れつつ書かせていただきました。

私ももっと勉強します;;




毎日ショーケースの上に並んでいますのでいつでもフランスの日常を感じに来てくださいね。







久しぶりに本気で書いたので(いつも本気じゃないわけじゃないですよ。誤解しないでください)相当体力を使いました・・・ので次回からこんなに書けるかわからないですけど、頑張って少しづつご紹介します。
長くなってしまいましたが・・・ここまで読んで下さりありがとうございます!
飽きずに次回をお待ちください。是非、気長に^-^

それではまた・・・


おおたに
by montebbello | 2012-05-13 00:22 | お菓子の紹介

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